お気に入り

新築の収納スペースはどう作る?配置のポイントや使いやすい仕様を解説

お気に入り保存

新築住宅を建てた人に家づくりでの後悔を尋ねると、収納に関する声がよく聞こえてきます。綿密にプランを立てたつもりが、実際に住むと容量が少なかったり、使いづらかったり……。どうすれば、使い勝手の良い収納を作ることできるのでしょうか。インテリアコーディネーターの松本智子さんに聞きました。

目次

計画段階で「何を」「どこに」を具体化する

暮らしやすさと密接に関わる収納づくりは、注文住宅やセミオーダー住宅の建築において、重要な項目の1つ。場所や大きさ、仕様などを決める際に、施主の希望を取り入れる住宅会社が増えています。

ところが、打ち合わせ時には「何を」「どこに」収納したいのか決まっていない人が多く、ぼんやりとしたイメージのままプランが進むことも少なくありません。家を建ててから後悔しないためには、図面を作製する段階から、収納する物や場所を具体化しておくことが大事です

収納スペースは生活動線上に設けよう

収納を計画する上で、強く意識したいのは「適材適所」クローゼットや棚を設ける場所は、生活動線と連動させると、使い勝手が格段に向上します帰宅時にどこで上着を脱いで掛け、カバンはどこに置くのか、トイレットペーパーや洗剤などの日用品を買った時はどこにしまうのかなど、図面を見ながら頭の中で家族の動線をシミュレーションし、収納を設ける場所を決めていきます

物の所在地を明らかにしておくと、家族の中で整理整頓が自然と習慣化し、居室を美しく保つことができます。また、車のカギや携帯などの小物にもアドレスを与えると、紛失防止になります。

人気の大型収納!使いやすい仕様とは

収納にはさまざまなタイプがありますが、最近、人気を集めているのが、大容量型の収納です。家族全員の靴や傘、ベビーカー、アウトドア用品まですっぽり収まるシューズクロークをはじめ、季節の衣類をまとめて1カ所に収納できるファミリークローゼット、キッチンに隣接し、食材などを保管するパントリーなどが代表的です。それぞれの仕様は、収納する物や用途によって変わってきます。

1.シューズクローク

シューズクロークは、湿気がこもりがちな靴をたくさん収納する場所。そのため、換気を重視して扉を付けないオープンタイプの棚が最適です。1段あたりの奥行きは30cm程度がベスト。棚は可動式にしておくと、スニーカーやパンプス、ブーツなど、種類に合わせて高さを自由に調節することが可能で、効率良く靴を収めることができます。また、ハンガーポールなどを渡して、「引っ掛ける収納」をプラスすると、利便性がアップ。子どもの濡れたレインコートや傘など、置き場所に困る物をさっと掛けられ、重宝します。

2.ファミリークローゼット

ファミリークローゼットは、ハンガーパイプと枕棚を取り付けたシンプルな仕様が一般的で、洗濯物を干してからしまうまでの動作がスムーズに完結する動線上にあると便利取り入れた洗濯物を畳まなくても、ハンガーのまま掛けて収納することができ、家事の時短につながります。またハンガーパイプは、一部を上下2段に設置するのがポイント。デッドスペースが生まれず、衣類の仕分けに活用できます。例えば、上段はトップス、下段はボトムスと分けて掛けると、畳んで収納するよりワードローブが見やすくなります。

3.パントリー

扉のないオープンタイプの可動棚が人気です。食品を種類ごとに細かく分類して管理しやすく、出し入れにも手間取りません。下部まで棚を設けず、少し空きスペースを確保することで、ペットボトルや米など重さのある食品の保存場所になります。

あれば便利な収納スペース

洗面所に奥行きの浅い棚を設けると、タオルや化粧品などの収納に役立ちます。また、キッチンの壁面のカップボードは腰の高さほどにし、上部にはオープン棚を設置して、お気に入りの食器やかわいいキッチングッズをディスプレイ。このような「見せる収納棚」は、単に物を収めるだけでなく、飾る楽しみを広げ、暮らしを豊かにしてくれます。さらに、階段下のスペースも有効活用。季節家電や掃除道具など、必要な時にすぐ取り出したい物を収納できます。

収納づくりにありがちな失敗って?

1.奥行きが深すぎる

収納を作る上で重要なのは奥行きです。洋服を掛ける目的のクローゼットなら、ハンガーの幅を考慮すると60cmあれば十分。深すぎるとハンガーポールの奥や手前に、何も置けない中途半端な空間ができてしまいます。収納する物に対して、できるだけ余白ができないように作ることが、使いやすさにつながります。

2.扉が使いづらい

収納扉に折れ戸を採用することがありますが、扉の厚みがじゃまになり、「物の出し入れがしづらい」という声も。プランニングでは見過ごしがちな収納扉は、実は片付けやすさを左右する大事なパーツ収納する物や目的に応じて、適切なタイプを選んでください。扉を開け閉めするのが面倒で、片付けがおっくうになる人は、最初から扉を排除した設計にしてもいいかもしれません。

【まとめ】収納は暮らしにフィットした設計を

家づくりを進めていく中で、「収納は少ないより多い方がいい」とつい欲張ってしまうかもしれませんが、たくさんあれば家が片付くというわけでもありません。せっかくの収納スペースをムダにしないためには、目的に合ったサイズや場所をきちんと考えて作ることが大事です。暮らしに合った収納設計で、心地良い毎日を過ごしませんか。

取材協力:インテリアコーディネーター松本智子

内容は2022年1月21日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

この記事をお気に入りに保存する