高気密・高断熱の家はココが違う!メリット・デメリットを解説
住まいの快適性を高める上で「高気密・高断熱」は重要なキーワード。住宅専門誌やパンフレットなどでも、たびたび目にする言葉です。省エネにもつながる最新の住宅性能について、基礎知識を深めましょう。
目次
高気密・高断熱ってどんな家?
高気密・高断熱住宅とは、隙間を少なくして空気の出入りを最小限に抑え、高性能な断熱建材を用いることで外気温の影響を受けにくくした住まいのことです。日本の木造家屋は、どんなに丁寧に建てても、わずかな隙間ができてしまいます。そのため、冬は底冷えし、冷暖房が効きにくいという弱点がありました。高気密・高断熱は、家全体をまるで魔法瓶のように密閉・保温することにより、快適な暮らしがかないます。
2021年4月より「改正建築物省エネ法」が施行され、省エネにもつながる高気密・高断熱は家づくりの重要なテーマとなりました。
高気密・高断熱のメリット
今や多くの住まいで取り入れられている高気密・高断熱。その設備や仕様にはさまざまなメリットがあります。
1.年中快適な室内を保てる
最大のメリットは、優れた断熱材や窓サッシなどの効果で、室内が四季の温度変化に左右されないこと。冬は温かく、夏は涼しい住空間を保てます。真冬でも薄着や素足で過ごせたり、寒い朝もすっと布団から出られたりと、心地良い暮らしをかなえてくれます。
2.体にやさしい
室内の温度差が少ないため、体へのストレスを軽減することができます。冬場にバスルームやトイレに入ると感じる冷たさから解放され、急激な温度変化が原因となるヒートショックを防ぎます。
3.光熱費を節約できる
高気密・高断熱住宅は冷暖房費の節約が可能です。室内の暖気や冷気が外へ逃げにくく、冷暖房の効率が良いため、光熱費があまりかかりません。冷暖房機器による二酸化炭素の排出量を抑え、環境にも配慮できます。
4.税金の控除などがある
一定の省エネ性能を持つ住宅には、税金の軽減や控除、補助金などの優遇制度が設けられています。長期優良住宅に認定されれば住宅ローン減税の対象になったり、ZEH対応型住宅の場合は申請すれば補助金がもらえたりします。
5.室内干しの乾きが良い
湿気が室内に入り込むことが少なく、2003年に義務化された24時間計画換気システムが居室の空気の循環を促し、室内干しの洗濯物がよく乾きます。花粉症のシーズンや雨の日も気にせず洗濯ができ、家事の負担を和らげてくれます。
6
.防音効果が期待できる
使用されている断熱材などが、外からの音をさえぎり、室内の音漏れを防いでくれます。線路や道路沿いに建つ家、小さな子どもがいる家庭やペットを飼っている人にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。
高気密・高断熱のデメリットと解決策
暮らすほどに良さを実感できる高気密・高断熱住宅ですが、デメリットもあります。ここでは、よく言われる4つをチェックし、それぞれの解決策を紹介します。
1.建築コストがかかる
高気密・高断熱住宅は専用の建築資材や設備が必要となってくるため、どうしても一般の住宅より建築費用がかさんでしまいます。価格は設備内容や仕様によって異なるので、複数社で比較検討することが大事。その上で、ライフスタイルに合うものを選びましょう。
2.室内が乾燥しがち
メリットの1つに、室内干しがよく乾くことを挙げましたが、裏を返せば、室内の空気が乾燥しやすいということになります。湿度コントロールができる換気システムを取り入れたり、加湿器を置いたりして調湿を心掛けましょう。
3.結露が起こることもある
断熱材の内部に室内の暖気が入り、壁内に結露ができてしまうことがあります。放っておくとカビが発生し、柱などが腐敗してしまう恐れも。結露を防ぐには、気密、断熱、換気(空調)のバランスを整えることがポイントです。結露対策に積極的に取り組んでいる会社もあるので、気になる人は相談してみましょう。
4.室内が暑くなると冷めにくい
熱を逃さないつくりのため、夏は室内に日中の暑さがこもってしまうと、なかなか冷めることができません。光熱費が低く抑えられる利点を生かし、数時間の外出ならエアコンをつけっぱなしで出かける方が快適さを保てます。
【まとめ】高気密・高断熱は長く安心して暮らすための住宅性能
住宅性能を高めることは、暮らしやすさだけでなく、住まい自体の耐久性や安全性の向上にもつながります。高気密・高断熱住宅の建築にかかる多少の出費は、長く安心して暮らしていくための、将来への投資とみなしていいかもしれません。
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内容は2021年7月26日時点の情報のため、最新の情報とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。