TBJインテリアデザイン建築事務所
日本の伝統技法と近代デザインが融合!光と影の美しさを魅せるアートな古民家(M様邸)
歴史ある家が立ち並ぶ住宅街に、150年前から建っているMさん邸。魅力ある古民家を100年先まで残していきたいと、“古民家を古民家として残す再生リノベーション”を「TBJインテリアデザイン建築事務所」に依頼しました。歴史ある建具や家具、季節を感じる坪庭、和風呂や雪見障子など古民家らしい趣を残しつつ、モダンな意匠性を持たせた仕上がりに。新しい命が吹き込まれたMさん邸からは、日本の伝統工芸の魅力がたくさん詰まっています。ゲストが文化と芸術を楽しめるギャラリー「contrail garally(コントレイルギャラリー)」も見どころポイントです。
Profile
- 建物種別
- 中古戸建て
- 築年数
- 築150年
- 延床面積
- 306㎡(約93坪)
- 敷地面積
- 578㎡(約175坪)
- 施工面積
- 306㎡(約93坪)
- 構造・工法
- 木造伝統的工法
- 施工内容
- フルリノベーション
- 施工年月
- 2020年8月
- 施工会社
- 設計/TBJインテリアデザイン建築事務所 施工/東播建築工藝
目次
こだわりポイント
1.海外からの客人をもてなすモダン古民家な1階
昔ながらの風情が今もなお色濃く残る姫路市蒲田に、伝統工法で約150年前に建てられたMさん邸。江戸末期に建てられ、Mさん自身も小学6年生まで暮らした愛着のある実家です。職を辞し、再びこの家に帰ってくると決まった時にリノベーションすることを決意したそう。“住むためのリノベーション”ではなく“古民家の良さをそのままの姿で残すリノベーション”を、「TBJインテリアデザイン建築事務所」に依頼しました。
「愛着のある日本家屋を昔の佇まいに戻したい」というのがMさんの希望。間取りや梁(はり)、ディテールや使用する建材など、あらゆる部分に伝統的なものを用いて“江戸時代末期の姿”を再現することにこだわりました。Mさんが家の中で一番好きな場所である土間は、広さも建具もそのまま残し、床には三和土(たたき)を使い、日本古来の材質と技術を用いて改修。幼少期の記憶がフラッシュバックするような、懐かしさあふれる空間に仕上がっています。
友人や家族が集うキッチンは、ダークカラーの自然木に、鮮やかな朱色のキッチンを組み合わせて和モダン調に。カリンの天板でつくられたダイニングテーブルは、解体時に残しておいた地松の梁材を使用してオーダーメードしたこだわりの一品。今までとこれからをつないでいく“歴史を継承するテーブル”です。
伝統工法“名栗(なぐり)技法”と漆で作られたキッチン。名栗独特の凹凸ある質感と光沢感が際立ち、日本らしさが表現されています。ドイツ「ミーレ社」の食洗機や「バルミューダ」の家電を取り入れ、生活のしやすさも意識しています。
今では見ることすら珍しい希少な陶器製の客用便器が、あまり使用されることなく、とても美しい状態で保存されていたそう。廊下の奥にギャラリースペースを設け、便器を“見せるオブジェ”として蘇らせました。ギャラリースペースと廊下の漆喰の色は、元々の弁柄(べんがら)色をそのまま活かしたことで、長い時を刻んだ表情豊かな木と見事に調和しています。
2.展示会を行う「contrail gallery」を新設
趣味は模型作りや絵を描くことという、制作意欲に満ち溢れているMさん。リノベーションを依頼する前から「展示会が開けるような小さなギャラリーを作りたい」と思い描いていたそう。このリノベーションで元々倉庫として使っていた場所が、「contrail gallery(コントレイルギャラリー)」というギャラリースペースに生まれ変わりました。
1階にある部屋の中で一番天井が高く、開放感は抜群。すっきりとした空間の中で、大きな梁と飾られた作品たちが存在感を放っています。ここは別名“天候の間”と名付けられるほど、天候によって異なる雰囲気が楽しめる空間。特に、秋の夕暮れどきは小窓から夕陽が一本射しこみ、とても幻想的で気に入っているシーンだそう。
MEMO
「contrail gallery(コントレイルギャラリー)」の紹介はこちら
➡︎【姫路】完全予約制の古民家ギャラリー「CONTRAIL GALLERY」期間限定の展覧会開催!
3.季節の移ろいを感じる2つの庭
Mさんの家の自慢の一つが立派な庭園。全面芝生でまぶしいほどに緑にあふれています。手入れが行き届いた庭園では、四季折々の表情はもちろん、時間帯や天気によっても違った眺めを楽しめるのが魅力です。
母屋と蔵をつなぐ坪庭には立派な紅葉の木が。近代床の間がある部屋と和室には、雪見障子が張られているので、座ってくつろぎながらこの景色が楽しめます。
坪庭を抜けると小さな離れがあります。離れの中は、建築家が京都の茶室をイメージして作ったゲスト用のお風呂です。信楽焼の浴槽に入りながらの景色は絶景!坪庭の景色を独り占めできる半露天風呂では、住宅ではなかなか味わえない贅沢なひとときを過ごせます。
4.家と自然が織り成す光と影のアート
今回のリノベーションのコンセプトである「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」を、光と影を駆使しながら、古き日本の美しさや、生活と自然とが一体化する芸術性を表現しています。特にそれを象徴するのが夜の外観。虫籠窓(むしこまど)や格子扉から漏れる灯りを白い漆喰壁に反射し、静かに庭園を照らす様子がとても幻想的ですね。
ゆるやかなカーブを描くアール型の壁と伝統的な聚楽壁(じゅらくかべ)があしらわれ、間接照明が映える近代床の間。土壁の中にわらスサを入れることで、古風な質感を醸し出しています。水面を表現した近代床の間は、建築家の「陰翳礼讃」の心が最も込められたこだわりの空間です。
キッチンには、囲炉裏(いろり)をイメージした英国製壁掛け式暖炉が。「昔の人々が火のあるところに集まっていたように、このキッチンが自然とみんなの集まる空間に」という建築家の思いが込められています。漆黒の暖炉の中で赤々と燃える炎からは、自然の力強い生命力と、生活と自然との一体感を感じますね。
5.スキップフロアで区切った2階は完全プライベート空間
元々屋根裏だった場所を改修した2階は、Mさんの趣味の部屋、ダイニングキッチン、寝室の3部屋があります。家の構造で重要な梁が渡っているため、すべての部屋が階段やステップで区切られ、隠し部屋のような作りになっています。「扉をくぐるとどんな部屋が待っているんだろう?」と、子どもも大人もワクワクしそう。
キッチンダイニングは、木の温もりが感じられるナチュラルな雰囲気。虫籠窓(むしこまど)から景色が楽しめるように、ちょうどいい大きさと高さのテーブルをオーダーメイドしたそう。昔ながらの虫籠窓を活かして生活するため、Mさんは虫籠窓に網戸をオーダー。「TBJインテリアデザイン建築事務所」の提案でガラス戸、無双窓を加えて使い勝手をさらに追究しました。
2階にはMさん専用のプライベートシャワールームを設置。コンセプトは男らしくかっこいい空間。ドイツのシャワールーム、トルコの洗面陶器、イタリアのタイルなど、海外の一流ブランドを贅沢に取り入れています。トイレの頭上にある炭化した梁にも注目を。スモークシャンデリアが洗練された空間をそっと照らし、居心地も抜群です。
お客様の声
日本らしい佇まいを活かしながら、近代的なデザインもうまく取り入れられたMさんの家。築150年を超える古民家を“そのままの姿で残すリノベーション”は現代の生活スタイルに合うのか、実際に住んでみた感想を聞きました。
お客様の声
実際におうちを建てた人のQ&Aをチェック!
【まとめ】「陰影礼讃」の心で作り上げた光と空間のアート
古民家の良さに魅了され、「古いものをもっと古くしたい」というMさんの要望により、江戸時代末期の姿を再び蘇らせた斬新なリノベーション。採光や間接照明を工夫し、古民家と自然で「陰影礼讃」をイメージした“光と空間のアート”が表現され、古さのなかに現代らしさも感じられるリノベーションになりました。生活のしやすさを考え、1階はギャラリー、2階はプライベート空間として使い方を区切ったのも斬新なポイントの1つ。次の世代に新しい形で残す古民家リノベーションを考えている人は、「TBJインテリアデザイン建築事務所」に相談を。豊富なアイデアと伝統技法で、古民家に新たな命を吹き込んでくれるはずです。
MEMO
・「蒲田の家」はインテリアプランニングアワード2020優秀賞を受賞
・フランスの雑誌「Wattention」で「日本の古民家再生の美しい建築」として紹介
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■施工会社の詳細情報
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受賞歴多数!建築士が手がける
美しいモダンデザインの家